iroiroarukedoのブログ

色々あるけど・・・。面白くなかったら、ごめんなさい。

医療と経済 その6

私の案を申し上げる前に、もう一度だけ議論の整理をさせて下さい。

高齢者の延命に高額の費用がかかっている、モンスターペーシェントのために救急外来がたいへんだ、救急車をタクシー代わりにつかう輩がいる・・・・・。

確かに、その通りですね。でも、これらは今の議論と何の関係もないのです。医者が儲け過ぎとかいう話と同じで、本質とは関係ありません。厚労省の役人が無能というのも違います。(ただし、性格は悪いです)

医療技術の進歩で助かる方法はあるけど、お金はそこまでない。これだけが本質です。

シンプルに考えてみて下さい。

100人の村がある。みな良い人だ。
技術進歩でガンの痛みがなくなる薬ができたが、100万円する。
自分がガンになったときに100万円も出すのは大変だから、皆で保険を作った。

皆、安心した。

次に、ガンの進行を5年遅らせる薬ができて、値段は300万円。
長生きさせてあげたいから、皆、旅行もガマン、外食もガマン。保険料をアップして、なんとか薬を買ってあげれるようになった。

皆、頑張った。

次に、ガンが治ってしまう画期的な薬ができた。でも1千万円。

もうこれ以上は、誰も保険料を払えない。

「気の毒だけど、俺、やっぱりUSJ行きたい。ごめん、本当にごめん」
だけど何人かの金持ちは、ガンになったら自分で1千万の薬を買うことができる。

これだけの話。で、どう考えるか?

命の平等が絶対なら、金持ちが自費で薬を買うことも禁止すべきってことになりますね。でも、そこまでは言えない。金持ちだって、自分の命のことです。

そもそも「保険」でしょ。平等のために作ったわけじゃないし。

それに、金持ちが1千万で買わないと薬の進歩は止まります。確かに技術の進歩こそが問題で、次の薬は2千万になって、ますます手が出なくなるかもしれない。だけど、高望みせずに今のレベルの薬でもいいというなら、もっと安くなっているかもしれません。

一方、自費で治療を受ける方も、気兼ねします。私も歯医者の待合で虫歯の治療に何を使うか聞かれて、「セラミックでお願いします」というときは、周りに気兼ねして小さくなってしまいます。

普通は逆ですよ。女の子のいる店でシャンパンを頼んだら、隣の客が小さくなる姿を尻目に女の子の肩に手を回し、勝ち誇って乾杯します。・・・でも、隣にロゼが運ばれてきたら、次はこちらが小さくなる番です。

結局は、平等意識の問題だけなのですね。要点を煮詰めると、ほんとにそれだけ。

だったら「混合診療はダメ|もし自費で追加の治療を受けるなら、最初から全部、自分で払ってもらうからな」などとかセコい嫌がらせをするんじゃなくて、自費診療の金額に応じてを賦課金を徴収し、保険財政に組み入れるようにしたらいい。

つまり、自費に「課税」して、保険の足しにしたらいいんじゃないですか。

本当に自費の金額が捕捉できるの?、とか技術的な話はさておいて、こうすれば、治療を受ける方も気兼ねしないし。受けられない方にも目に見えるメリットがあります。

なにより、不平等感の解消がポイントですね。だって「不公平はいや!」っていうのが、全ての根本原因なんですから。不平等はなくならないけど、ちょっとマシになる。

飲み屋街の蕎麦屋がホステス同伴の客に「他の店で高いの金額を遣ってるんだから、うちでも高い蕎麦を食べてもらわないと不公平!」って考えるのと、同じ論理です。

「医は仁術」という時には必ず、「赤ひげ」が引き合いに出されますね。山本周五郎の『赤ひげ診療譚』を原作とし、黒澤明監督で映画にもなり、医師の理想とされる姿を描いています。

でも、「赤ひげ」こと新出去定(にいできょじょう)が貧者から金を取らずに治療を施すことができたのは、金持ちから法外な料金をとっていたから。

取られる方からしたらどうかとは思いますが、まあ、それも社会正義の範疇とも考えられる。

ですので、その混合診療バージョンだと思っていただければ、「仁術」を制度化したものといえなくもないかなと思うのです。「医は仁術」と言うは易くも、現実にはムリ。とりわけ現代の医療は高度化していて、莫大な設備と人員と資金を必要とする巨大なシステムです。先立つものがあっての話ですから、制度設計に理念を取り入れるのが、せいぜいだと思います。

以上が、私の具体案です。別に誰でも考えつく内容かと私自身も思うのですが、どういうわけか、今まで同じ意見を見たことがありません。

なので、政府の諮問委員会に呼ばれるのではないかと密かに待っているのですが、今のところ政府からの連絡は、マイナンバーの通知だけです。

 

長々と、この6回にわたる与太話にお付き合いいただき、誠にありがとうございました。優れた技術進歩によって、逆に困ったことになっているのがお分かりいただけたでしょうか?これで「医療と経済」を、終わりたいと思います。(あと、全自動モチつき機は本当に要りません)

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