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iroiroarukedoのブログ

色々あるけど・・・。面白くなかったら、ごめんなさい。

医療と経済 その3

医療

ずいぶん昔の話になりましたが、「薬価差益」という言葉がありました。医者が薬で儲けようとするから薬漬けになる、ということで、国は医薬分業を進めました。調剤薬局バブルが起き、薬の処方はかわらず、余計に高くつきました。

「検査漬け」という言葉もあります。開業医なら金儲けで不必要な検査をという場合もあるでしょうが、高額な検査を次々としているのは、自分に何の利益もない公的病院の勤務医です。

医者や製薬メーカーが金儲けに走るから医療費が高騰する、というストーリーはわかりやすいし、世間のウケは良いですね。だから、それを抑えようとする政策や規制が色々と打ち出されてきました。でも、本当の理由は違います。

高齢化社会だからでしょうか?多少は関係ありますが、高齢化していない諸外国をみても、どの国も医療費の高騰に苦しんでいます。

医療費高騰の最大の原因は、医療技術の進歩なのです。実は、このことは何十年も前から医療経済学者には周知の事実でした。だけど、このストーリーは人気がありません。責める相手がいないからでしょうね。

今や、技術が進歩しすぎて、「いいんだけど、高すぎる」という状況です。しかし、技術があるなら使わないわけにはいきません。

2万円を超える高級トースター「バルミューダ」でパンを焼いたらどれほどおいしいかと私も思うのですが、ちょっと高すぎるので買いません。何十年前から変わらない技術で作られた2千円のトースターで十分です。

でも、これが手術を受ける時の電気メスなら、「こんがり焼けて中はふっくら」の最高級機種でお願いしたいと思います。もちろんトースターだけでなく、全て最新、最高機種で揃えてほしいですから、費用はうなぎ上りとなります。(ただし、全自動モチつき機は要りません)

だけど、そういうと「パソコンとか液晶テレビとか、技術進歩しているけど値段は安くなってるし」って、思われませんか?

これが医療と他の産業の違うところです。家電なら、客がどれくらいまで出せるかを考えて商品開発します。一方、医療機器の技術者は、それで助かる命があるならと、CTをしながら血管造影のできる装置を開発します。

しかし、家電メーカーの若き熱意あふれる技術者が、風呂に入りながらパンを焼けるトースターの開発を会議で提案したら、どうなるでしょうか。お風呂に入りながら、焼きたてパンが食べれたら素敵なバスタイムになりますね。もちろん会議では、部長からこう言われると思います。
「お前はバカか。そんな物にわざわざ高い金を出すような客はおらん。」
(ただし、風呂に入りながら見るテレビはあります。)

でも、医療機器や薬は別です。風呂に入りながらパンを焼くことで助かる命がある限り、医療の技術開発は続くのです。

ピーター・ドラッカーが書いていたことですが、軍事と医療だけは技術革新が低コスト化に向かわない。命にかかわることだから、低価格パソコンなんかじゃなくて、スパコン「京」で治療を受けたいのです。一番じゃなきゃ、ダメなんです!

そういう訳で、医療の技術は日進月歩。世界中で優秀な頭脳がしのぎを削り、毎日のように新しい研究成果が華々しく発表されています。しかし、結局はそのことによって自分で自分の首をしめていることに、私たちは気づいていません。

麻美ゆま嬢が「本当に大切なのは、技術じゃない」と、これほど切実に世に訴え続けているにもかかわらず、いまだに私たちは、技術の向上を願い続けているのです。

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