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iroiroarukedoのブログ

色々あるけど・・・。面白くなかったら、ごめんなさい。

医療と経済 その1

医療

医者が金の話をするなんて、というのが世間一般の受け止め方で、私も経済について語ることは憚られるのですが、医療問題の大半が、実のところは金の話。

金で解決できることなら金を出せば済むのだけれど、一方で、医療費の高騰が問題にされます。医療費高騰が社会問題となっているのは日本だけではありません。世界中の国々が同じ問題に悩まされています。

オプジーボのお陰でやっと理解されはじめたようですが、医療費高騰の原因は、医者のベンツでもなく、製薬会社の接待費でもありません。また、厚労省の役人が無能だからでもありません。(ただし、性格は悪いです。)

皆が手放しで賞賛する、医学、医療の技術の進歩こそが、実は最大の犯人なのです。

これから医療と経済について、何度かにわけて私の考えを申し上げたいと思います。理想の医療を提供することは難しいことではありませんが、そのためには、誰かがどこかからカネをもってこないといけないのです。

昔、弊院に30才前後のやさ男が、お腹の大きい東南アジア人女性を連れて飛び込みでやってきました。明らかに陣痛が始まっています。

今までどこでも妊婦検診を受けていないと言うし、弊院はそもそも高級路線の出産が売り物。救急車を呼んで、医療扶助が受けられてソーシャルワーカーのいる病院に行くように伝えたのですが、

「お金は心配ないです。後で持ってくるから、ここで産ませて欲しい」

押し問答している間に分娩が進行し、無事に出産となりました。でも、産まれたとたんに案の定、

「本当はお金がないから、連れて帰ります」

男は工事関係の職人でとのことで、何を言っても、「仕事がなくって・・・」というだけで埒が明かない。無銭飲食と同じことですので、警察を呼びました。

ところが、やってきた年配の警官は黙って話を聞いていたのですが、聞き終えると私に向かって

「医者が『カネ、カネ』って情けない。医は仁術じゃないんですか!」と一喝。

警官と医療経済について議論しても仕方ないので、話の切り口をかえてみました。

「お金だけの話じゃないです。この無責任な男が、きちんと出生届を出すと思いますか?」

「えっ・・・」

「この子が無国籍児にならないように、法の庇護の下に育てられるように、ぜひ警察にお力添えをお願いしたいのです。」

「それはちょっと、うちの管轄と違うんで」

警官は男に向き直り、

「やっぱり、お前が悪い。妊娠させたら、普通はカネを貯めとくべき。」

 

そういう訳で、皆で管轄署まで行くことになりました。でも、署の刑事が男を尋問しても「仕事がないんで・・・」の繰り返しでどうしようもない。匙を投げた刑事が、

「悪いけど、そこの取調室を貸すから自分で取調べして。」

仕方ないので取調室で私が男と話をし、なんとか親戚に連絡をつけさせることができました。翌日、親戚がやって来て、一言もしゃべらずに金を叩きつけて帰りました。親戚中が男に腹を立てているのでしょうね。

その後、どうなったのだろうかと時々、思い出しては気になっていたのですが、数年して母親がその時の子どもを連れて診察に来ました。

尋ねると、男と入籍して、子どもの出生届も出されたようで、ホッとしました。きちんと保険証ももっています。

「ご主人の仕事も順調そうでよかったですね」と言ったら

「チガウヨ!ワタシガ、夜ノ仕事シテル」

やはり、どこかで誰かがカネをもってこないといけないのです。

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